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本文なし
『Taming of the Shrew』
今日は跡部さんの所の牧場へやってきた。
跡部さんが直々に私を誘うことは滅多にない。
いつもなら私がちょっと強引に誘って、
「仕方ないから付き合ってやる」という形になるからだ。
跡部さんは意外とテニス馬鹿の帰来があって、
無駄な時間を費やすぐらいなら
その分練習に励みたいというタイプ。
見た目やその行動の派手さからは想像できない。
もちろん、プレーを見れば努力家であることは一目瞭然なのだけど。
「うわあ!久し振りシルバーミーティア号!」
つやつやな毛並みと聡明で美しい顔をした白馬に挨拶をする。
跡部さんの馬だ。
以前、ジュニア選抜の合宿所にまで跡部さんを追っかけてきた。
その行動力には敬服する。
まさか誰も連れずに1頭で跡部さんの元へと来るなんて驚いた。
その白馬との再会。
あのときは跡部さんと二人乗りするという幸運に恵まれ思い出深い。
うっかり思い出を反芻してしまう。
「おい、馬に乗ってみるか?」
跡部さんに誘われる。
流石にシルバーミーティア号には乗せてもらえなかったけど
おとなしい、私のような初心者でも乗りやすい馬をあてがってもらえた。
おそるおそる乗ってみることにした。
---
「跡部さーん!」
私を遠くから眺めている跡部さんに手を振ってみる。
振りかえしてはもらえないけど、
やるな…といったカンジの笑みを返される。
普段から体を鍛えてバランス感覚に優れているからか
なんとか、といったカンジだけれども馬は私と一緒に走ってくれる。
柵の中を何周かして再び跡部さんの元へと戻る。
「やるじゃねえか、オマエ」
私を馬から支えて降ろしてくれて、珍しく私を褒めてくれる。
なんだか嬉しいかも。
跡部さんは普段私を褒めることも滅多にないからだ。
テニスを一緒にしていればたちまち鬼コーチだ。
本当に天から沢山のものを与えられているのに
この人はテニスに真摯だ。
もっともそんな跡部さんだから尊敬するし憧れるのだけれど。
跡部さんの手は下ろしてくれてから、私の身体から離れない。
普段あまり密着することはないものだから、意識してしまう。
跡部さんの身体から発する香りは、
きっと外国製のコロンなのだろうけど爽やかでいかにも彼らしい。
やだな、急にドキドキして来ちゃったよ。
顔、赤くなってないといいんだけど。
ありゃ?目まで合っちゃったよ。
…これって、もしかしてイイカンジ?
「しかし、残念だったな」
?
残念?
「お前が一人で乗れないようなら、
俺と二人で馬に乗ろうと思ってたんだがな。
どうやら、その必要はないようだ━━━まあ予想していたが」
視線をはずさず跡部さんはそう言った。
思わずむくれ顔になる。
この人はイジワルだ。
そんなことを考えているなら初めから言ってくれれば良かったのに!
私は跡部さんと馬に乗りたかったのに!
そう、抗議しようと口を開こうとした。
しかし、それを遮るように跡部さんは話を続ける。
「だが、初めっから言ってしまうのはアンフェアだからな。
例え勝負が最初から決まっていたとしても…な。
まあ、オマエのふくれっ面も見られたことだし、おもしろかったよ」
「わ、私の反応を楽しんでるんですか!ヒドいですっ!」
「まあ、焦って怒るなよ。
アンフェアなことはやめてフェアにいこうって話をしてるんだからよ」
フェア?なんだろう?
思わず首をかしげてしまう。
そんな私を見て、跡部さんは吹き出し笑い。
「本当に面白い反応を示すヤツだなオマエは。
さて、本題だ。
━━━なあ、俺と一緒にシルバーミーティア号に乗ってくれないか?
俺はオマエ以外のヤツを乗せたことはないしこれからも乗せたくはないが
オマエとならこれからもいつまででも乗っていたんだよ」
また私の反応を見てからかっているのだろうか。
よく分からないけど、とりあえずその言葉が取り消されないウチに
大きくうなずいてみる。
あ、また笑った。
END
『Taming of the Shrew』
今日は跡部さんの所の牧場へやってきた。
跡部さんが直々に私を誘うことは滅多にない。
いつもなら私がちょっと強引に誘って、
「仕方ないから付き合ってやる」という形になるからだ。
跡部さんは意外とテニス馬鹿の帰来があって、
無駄な時間を費やすぐらいなら
その分練習に励みたいというタイプ。
見た目やその行動の派手さからは想像できない。
もちろん、プレーを見れば努力家であることは一目瞭然なのだけど。
「うわあ!久し振りシルバーミーティア号!」
つやつやな毛並みと聡明で美しい顔をした白馬に挨拶をする。
跡部さんの馬だ。
以前、ジュニア選抜の合宿所にまで跡部さんを追っかけてきた。
その行動力には敬服する。
まさか誰も連れずに1頭で跡部さんの元へと来るなんて驚いた。
その白馬との再会。
あのときは跡部さんと二人乗りするという幸運に恵まれ思い出深い。
うっかり思い出を反芻してしまう。
「おい、馬に乗ってみるか?」
跡部さんに誘われる。
流石にシルバーミーティア号には乗せてもらえなかったけど
おとなしい、私のような初心者でも乗りやすい馬をあてがってもらえた。
おそるおそる乗ってみることにした。
---
「跡部さーん!」
私を遠くから眺めている跡部さんに手を振ってみる。
振りかえしてはもらえないけど、
やるな…といったカンジの笑みを返される。
普段から体を鍛えてバランス感覚に優れているからか
なんとか、といったカンジだけれども馬は私と一緒に走ってくれる。
柵の中を何周かして再び跡部さんの元へと戻る。
「やるじゃねえか、オマエ」
私を馬から支えて降ろしてくれて、珍しく私を褒めてくれる。
なんだか嬉しいかも。
跡部さんは普段私を褒めることも滅多にないからだ。
テニスを一緒にしていればたちまち鬼コーチだ。
本当に天から沢山のものを与えられているのに
この人はテニスに真摯だ。
もっともそんな跡部さんだから尊敬するし憧れるのだけれど。
跡部さんの手は下ろしてくれてから、私の身体から離れない。
普段あまり密着することはないものだから、意識してしまう。
跡部さんの身体から発する香りは、
きっと外国製のコロンなのだろうけど爽やかでいかにも彼らしい。
やだな、急にドキドキして来ちゃったよ。
顔、赤くなってないといいんだけど。
ありゃ?目まで合っちゃったよ。
…これって、もしかしてイイカンジ?
「しかし、残念だったな」
?
残念?
「お前が一人で乗れないようなら、
俺と二人で馬に乗ろうと思ってたんだがな。
どうやら、その必要はないようだ━━━まあ予想していたが」
視線をはずさず跡部さんはそう言った。
思わずむくれ顔になる。
この人はイジワルだ。
そんなことを考えているなら初めから言ってくれれば良かったのに!
私は跡部さんと馬に乗りたかったのに!
そう、抗議しようと口を開こうとした。
しかし、それを遮るように跡部さんは話を続ける。
「だが、初めっから言ってしまうのはアンフェアだからな。
例え勝負が最初から決まっていたとしても…な。
まあ、オマエのふくれっ面も見られたことだし、おもしろかったよ」
「わ、私の反応を楽しんでるんですか!ヒドいですっ!」
「まあ、焦って怒るなよ。
アンフェアなことはやめてフェアにいこうって話をしてるんだからよ」
フェア?なんだろう?
思わず首をかしげてしまう。
そんな私を見て、跡部さんは吹き出し笑い。
「本当に面白い反応を示すヤツだなオマエは。
さて、本題だ。
━━━なあ、俺と一緒にシルバーミーティア号に乗ってくれないか?
俺はオマエ以外のヤツを乗せたことはないしこれからも乗せたくはないが
オマエとならこれからもいつまででも乗っていたんだよ」
また私の反応を見てからかっているのだろうか。
よく分からないけど、とりあえずその言葉が取り消されないウチに
大きくうなずいてみる。
あ、また笑った。
END
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