忍者ブログ
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

拍手のお礼で使用した話です。
巴→跡部の独白。
『誘い』跡部Versionと対になるお話。






***

拍手


好きってどこから来てるんだろう。
記憶の中で鮮やかに映し出される姿にすらドキドキしてしまう。
照れくさくなってめーたんを胸に抱き布団にダイブする。

「すき…です━━━……さん」

布団に顔を埋めて本当にかすかな声で呟いてみる。
いっそ彼の人に告げてしまえば楽になるだろうか。
でも、テニス仲間の自分からそんなことを言われては
きっと彼は戸惑ってしまうだろう。
ああ見えて優しい人だから答えに困ってしまうだろう。
彼の柔らかい声、案外がっしりした身体、ラケットを握る大きな手。
たまに意地悪なところも、ふと見せる優しさも自分にとってはかけがえのない。
いまそれを失うことなんて考えられない。
生きるか死ぬか、そんな選択は出来そうにない。
出来るのはただのテニス仲間の顔をしてそばに近寄るだけだ。
枕元の携帯電話に片手を伸ばす。

『明日また一緒に練習しませんか?』

ただ一緒にいたいだけなのに、また自分の心を偽ったメールを送信する。
純粋にテニスに明け暮れる彼はOKの答えを返してくれるだろう。
それは、分かっている。
だからこそ罪悪感が胸を占める。
狡い女になればこんな気持ちも抱かないだろうに。
初めて人を好きになった自分はまだまだそこまで及ばない。
自覚はある。

RRRR……

いつか彼が好きだと言った曲が携帯から流れ出す。
1分とかからなかった返事に慌てて画面を開いて確かめる。

『いつものところで』

あまりにも簡潔な答え。
けれどもいま欲しかった答え。
嬉しさにぎゅっとめーたんを抱き直して目を閉じる。
願わくば、今夜の夢は彼の夢でありますように。
久し振りに彼に会って挙動不審にならないようにせめて
夢の中で予行練習をさせて欲しい。

「よろしくね、めーたん」



END
PR
プロフィール
HN:
ななせなな
性別:
非公開
忍者カウンター
P R
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]