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本文なし
*赤い花1
from:跡部
件名:海へ行くから
内容:10時になったら家の前で待ってろ
そんな内容のメールが届き赤月巴は途方に暮れる。
時計を見やると9時30分。
女子には色々都合がある。
すぐに海へなんて誘われても困るだけだ。
何を着ていくか、何を用意すべきか。
男子の前では絶対言えないようなものの処理もすべきだ。
水着探し。
剃刀探し。
日焼け止め探し。
色々なことをやっているととても直前では時間が足りない。
しかしやらなければ跡部の機嫌を損ねてしまうことになる。
慌てて作業に取りかかる。
色んな処理をし、全身くまなく日焼け止めを塗りおえて
荷物をまとめようとしたときに気づく。
「……水着、乾いてない……」
昨日も部活の帰りに青学の面々と区民プールへ行っていたのだ。
部活で疲れているのにもかかわらず、はしゃいでしまい、
そのまま部活とプールの疲れが相まって帰宅後すぐに寝てしまった。
おかげで水着は今朝洗って干していたのだった。
「うわあ、どうしよ」
流石に水着とはいえ、ほんの1時間前ぐらいに干したものだから乾いていない。
もちろん、水着は濡れるためにあるのだから
着るときも濡れていたって構わないのだが、躊躇われる。
水にはいる前に濡れてるっていうのは微妙だわ…。
たった1着の水着しかなく、それも今朝洗っているというところが恥ずかしい。
乙女心が許さないし、だらしないのが嫌いな跡部がそれを見たらなんと思うか。
「こまったな……」
一人呟く。
呟いていたところでどうなるものでもないとは自分でもわかっていたけれど。
しかし、その呟きによって救いの手が現れた。菜々子だった。
定刻通りに越前家の前に、跡部を乗せたリムジンが到着する。
それを見た巴はうっかり腰をぬかしそうになるが、
かろうじてなんでもない素振りを整えて車に向かう。
まったく、この人はとんでもないスケールで怖いなあ…。
しみじみと巴は思う。
隣に座っている跡部は当然ながらこれが日常なのでなんとも思っていないようだ。
涼しげな顔で外の流れる景色を見ている。
「ほら、着いたぞ」
どうやらぼうっとしている間に着いたみたいだ。
車を降りて周囲を見回してみると、いたって普通の海水浴場。
海の家があって、監視員がいて、人々が皆楽しそうに海を楽しんでいる。
「あれ?」
「ん?どうした。問題でもあるのか?」
跡部は意外そうな顔で巴を見る。
意外そうな顔をしたいのはこちらの方なんだけど、巴はそう思った、
「跡部さんのことだから、プライベートビーチかなにかだと思ってました」
そう。跡部が誘う訳だから、ありきたりの海水浴場ではないと思っていた。
大体跡部がこんなありきたりの海水浴場を好むはずがない。
人ゴミがすごくて、落ち着かない。
なんとなく、思考が跡部化してきたのだろうか。
巴は、なんか、それヤだなと痛切に思う。
庶民なのに思考がブルジョアってどうなんだろう。
「プライベート…無い訳じゃないが、お前ならこっちの方が好きだろうと思ったんだが。
どうやら違ったのか?じゃあ、そっちに行くか?」
「いいえっ!こっちでイイです!」
そうか、気を遣ってくれたのか。
ちょっと心が和む。
どちらかというと跡部は俺様キャラなのでそんなことは気にしないと思っていた。
なので、こんな些細な気遣い、譲歩がとても嬉しい。
「……そうか?
じゃあ、そこの手前の海の家の予約をしてあるから着替えてこいよ。
着替えたら海の家前でまってろ」
「はい!」
更衣室でガサガサと菜々子に借りた水着の袋を開ける。
借りた、といっても実際は貰ってしまったようなものだった。
菜々子は友人達と買いに行き、勢いで買ってしまったものの
家で冷静になって着てみるとどうも水着の色が彼女の白い肌には合わなかったのだ。
勢いで買い物したときによく見られる光景だ。
「巴ちゃんの小麦色の肌なら似合うと思うんですけど」
借りたときには中身は確認しなかったのだが、袋から出したその水着は
毎日部活でこんがりとしていた巴には確かに似合う色だった。
彼女の水着ならさほどサイズが違うことも無し
センスを鑑みてデザインにも問題ある訳がないと思い、安心して身につける。
「あれ……これは……」
たしかに、デザインもサイズも問題がない。
巴にしてもかなり好みの水着だ。
色も肌の色にマッチしていてイイカンジだ。
でも、跡部が見たらどう思うだろう。
イイか、悪いか。
相手の反応が予測できないこの水着姿に冷や冷やしながら更衣室を出る。
2へ
*赤い花1
from:跡部
件名:海へ行くから
内容:10時になったら家の前で待ってろ
そんな内容のメールが届き赤月巴は途方に暮れる。
時計を見やると9時30分。
女子には色々都合がある。
すぐに海へなんて誘われても困るだけだ。
何を着ていくか、何を用意すべきか。
男子の前では絶対言えないようなものの処理もすべきだ。
水着探し。
剃刀探し。
日焼け止め探し。
色々なことをやっているととても直前では時間が足りない。
しかしやらなければ跡部の機嫌を損ねてしまうことになる。
慌てて作業に取りかかる。
色んな処理をし、全身くまなく日焼け止めを塗りおえて
荷物をまとめようとしたときに気づく。
「……水着、乾いてない……」
昨日も部活の帰りに青学の面々と区民プールへ行っていたのだ。
部活で疲れているのにもかかわらず、はしゃいでしまい、
そのまま部活とプールの疲れが相まって帰宅後すぐに寝てしまった。
おかげで水着は今朝洗って干していたのだった。
「うわあ、どうしよ」
流石に水着とはいえ、ほんの1時間前ぐらいに干したものだから乾いていない。
もちろん、水着は濡れるためにあるのだから
着るときも濡れていたって構わないのだが、躊躇われる。
水にはいる前に濡れてるっていうのは微妙だわ…。
たった1着の水着しかなく、それも今朝洗っているというところが恥ずかしい。
乙女心が許さないし、だらしないのが嫌いな跡部がそれを見たらなんと思うか。
「こまったな……」
一人呟く。
呟いていたところでどうなるものでもないとは自分でもわかっていたけれど。
しかし、その呟きによって救いの手が現れた。菜々子だった。
定刻通りに越前家の前に、跡部を乗せたリムジンが到着する。
それを見た巴はうっかり腰をぬかしそうになるが、
かろうじてなんでもない素振りを整えて車に向かう。
まったく、この人はとんでもないスケールで怖いなあ…。
しみじみと巴は思う。
隣に座っている跡部は当然ながらこれが日常なのでなんとも思っていないようだ。
涼しげな顔で外の流れる景色を見ている。
「ほら、着いたぞ」
どうやらぼうっとしている間に着いたみたいだ。
車を降りて周囲を見回してみると、いたって普通の海水浴場。
海の家があって、監視員がいて、人々が皆楽しそうに海を楽しんでいる。
「あれ?」
「ん?どうした。問題でもあるのか?」
跡部は意外そうな顔で巴を見る。
意外そうな顔をしたいのはこちらの方なんだけど、巴はそう思った、
「跡部さんのことだから、プライベートビーチかなにかだと思ってました」
そう。跡部が誘う訳だから、ありきたりの海水浴場ではないと思っていた。
大体跡部がこんなありきたりの海水浴場を好むはずがない。
人ゴミがすごくて、落ち着かない。
なんとなく、思考が跡部化してきたのだろうか。
巴は、なんか、それヤだなと痛切に思う。
庶民なのに思考がブルジョアってどうなんだろう。
「プライベート…無い訳じゃないが、お前ならこっちの方が好きだろうと思ったんだが。
どうやら違ったのか?じゃあ、そっちに行くか?」
「いいえっ!こっちでイイです!」
そうか、気を遣ってくれたのか。
ちょっと心が和む。
どちらかというと跡部は俺様キャラなのでそんなことは気にしないと思っていた。
なので、こんな些細な気遣い、譲歩がとても嬉しい。
「……そうか?
じゃあ、そこの手前の海の家の予約をしてあるから着替えてこいよ。
着替えたら海の家前でまってろ」
「はい!」
更衣室でガサガサと菜々子に借りた水着の袋を開ける。
借りた、といっても実際は貰ってしまったようなものだった。
菜々子は友人達と買いに行き、勢いで買ってしまったものの
家で冷静になって着てみるとどうも水着の色が彼女の白い肌には合わなかったのだ。
勢いで買い物したときによく見られる光景だ。
「巴ちゃんの小麦色の肌なら似合うと思うんですけど」
借りたときには中身は確認しなかったのだが、袋から出したその水着は
毎日部活でこんがりとしていた巴には確かに似合う色だった。
彼女の水着ならさほどサイズが違うことも無し
センスを鑑みてデザインにも問題ある訳がないと思い、安心して身につける。
「あれ……これは……」
たしかに、デザインもサイズも問題がない。
巴にしてもかなり好みの水着だ。
色も肌の色にマッチしていてイイカンジだ。
でも、跡部が見たらどう思うだろう。
イイか、悪いか。
相手の反応が予測できないこの水着姿に冷や冷やしながら更衣室を出る。
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