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本文なし
『恋は、理屈じゃない』
観月さんはいったい私のどこを好きになったんだろう?
テニスも学力もルックスもそこそこで飛び抜けたところがない。
那美ちゃんみたいに、テニスの能力がずば抜けてる訳でもなければ
桜乃ちゃんみたいな女の子らしさというものも持ち合わせていない。
今、私が持ちうるテニス能力も学力も観月さんがいてこそで。
自分一人ではどうしようもなかったんじゃないかと思う。
早川さんみたいな努力家でもないわけだし。
以前、何もかもが自分の好みだと言ってくれたけど、
全く具体的じゃないし。
だって、田舎者だし。
だって、力持ちだし。
だって、がさつだし。
寝坊もすれば宿題を忘れることもある。
考えれば考えるほど、ドツボにはまる。
はまって抜け出せそうにないから、とりあえず口にしてみた。
自分が思っていることをそっくり。
「……恥ずかしくて答えにくいことをよく訊きますね……キミは」
観月さんは、そういってすこし口ごもった。
隣に座る観月さんの横顔を眺めながら、私は言葉を待つ。
そして、やがて気を持ち直した観月さんは
前を向いたまま話し始めた。
私なら観月さんの良いところ、
好きなところをたくさん話せるんだけどな。
「ボクはね、データで測れない事柄など無いと思ってたんですよ。
試合も、人の気持ちでさえも、ね。
でもキミと出会っていろいろと分かったことがあるんですよ」
「いろいろと?なんですか?」
いろいろと、何が分かったんだろう。
私の何が観月さんには分かったんだろうか。一体、何が?
「いろいろとあって…うまく言うことは難しいんですけどね…。
その中の一つははっきり言えますね、
古来から使い古された言葉ですけどね」
そこで一旦言葉を止める。
そして私の方を向いて視線を絡ませる。
「その中の一つって、なんですか?」
とにかく一つでも知りたかった。
「んふっ…恋は理屈じゃないって事ですよ。データじゃ測れない。
そしてキミ自身もね…ボクの理屈では測れない、
そういうことが分かりました」
「はあ」
「要するに、理屈抜きでキミのことが好きなんですよ」
にっこり笑いながらそう言って、私の唇に一つキスを落とす。
よくよく考えたら、全く答えにはなってないんだけど、
まあいいかなって思えた。
どんな私でも好きでいてくれるって事だよね、きっと。
それに唇から伝うぬくもりは段々熱く深くなってくるし、
腰に回された手には力が込められてきたし。
何となく、キスで誤魔化されたような気もしないではないけれど。
言葉遊びの追求をする余裕もなくなってきたことだし。
やっぱり、恋は、理屈じゃない。
END
『恋は、理屈じゃない』
観月さんはいったい私のどこを好きになったんだろう?
テニスも学力もルックスもそこそこで飛び抜けたところがない。
那美ちゃんみたいに、テニスの能力がずば抜けてる訳でもなければ
桜乃ちゃんみたいな女の子らしさというものも持ち合わせていない。
今、私が持ちうるテニス能力も学力も観月さんがいてこそで。
自分一人ではどうしようもなかったんじゃないかと思う。
早川さんみたいな努力家でもないわけだし。
以前、何もかもが自分の好みだと言ってくれたけど、
全く具体的じゃないし。
だって、田舎者だし。
だって、力持ちだし。
だって、がさつだし。
寝坊もすれば宿題を忘れることもある。
考えれば考えるほど、ドツボにはまる。
はまって抜け出せそうにないから、とりあえず口にしてみた。
自分が思っていることをそっくり。
「……恥ずかしくて答えにくいことをよく訊きますね……キミは」
観月さんは、そういってすこし口ごもった。
隣に座る観月さんの横顔を眺めながら、私は言葉を待つ。
そして、やがて気を持ち直した観月さんは
前を向いたまま話し始めた。
私なら観月さんの良いところ、
好きなところをたくさん話せるんだけどな。
「ボクはね、データで測れない事柄など無いと思ってたんですよ。
試合も、人の気持ちでさえも、ね。
でもキミと出会っていろいろと分かったことがあるんですよ」
「いろいろと?なんですか?」
いろいろと、何が分かったんだろう。
私の何が観月さんには分かったんだろうか。一体、何が?
「いろいろとあって…うまく言うことは難しいんですけどね…。
その中の一つははっきり言えますね、
古来から使い古された言葉ですけどね」
そこで一旦言葉を止める。
そして私の方を向いて視線を絡ませる。
「その中の一つって、なんですか?」
とにかく一つでも知りたかった。
「んふっ…恋は理屈じゃないって事ですよ。データじゃ測れない。
そしてキミ自身もね…ボクの理屈では測れない、
そういうことが分かりました」
「はあ」
「要するに、理屈抜きでキミのことが好きなんですよ」
にっこり笑いながらそう言って、私の唇に一つキスを落とす。
よくよく考えたら、全く答えにはなってないんだけど、
まあいいかなって思えた。
どんな私でも好きでいてくれるって事だよね、きっと。
それに唇から伝うぬくもりは段々熱く深くなってくるし、
腰に回された手には力が込められてきたし。
何となく、キスで誤魔化されたような気もしないではないけれど。
言葉遊びの追求をする余裕もなくなってきたことだし。
やっぱり、恋は、理屈じゃない。
END
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