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本文なし
*君が僕にくれたもの:おまけ
「……で、君は一体どうするというですか?
前々から注意しているように、君はどうも後先を考えない」
ちょっとは反省しなさい。少し怖い顔で観月はそう言った。
本当に、この状況、どうしたものか。
ほとほと悩んでしまう。
「だって!一緒に寝ようって言ったのは観月さんじゃないですか~。
観月さんも責任の一端を握ってると思うんですけど」
少し不満げに口を尖らせて巴も言う。
「こ、声が大きいですよ。
それはそうですけど…じゃあ、君は良い案があるとでも言うんですか?」
観月のアラームが鳴る時間。
つまり寮生全員の起床時間だ。当然日も高い。
おまけに今日は観月の誕生日を祝うかのごとく快晴で雲一つ無い。
視界も当然良好だ。
したがって、巴がこっそり寮を抜け出すのは困難になってしまった。
堂々と正面玄関から出られる訳も無し。
窓からといっても、いくら木が少しは隠れ蓑になるといっても、
こんなに明るくては完全にこっそり出るのは難しい。
もちろん、他の寮生、たとえば柳沢とか木更津に協力を求めれば
なんとかなるかもしれない。
しかし、それは一番使いたくない手だ。
後で何を言われるものだか知れたものではない。
と、なると完全に打つ手無しだ。
頭を抱えて観月はしゃがみ込む。
いつの間にか、巴のペースに巻き込まれている。
いつも冷静でスマートな行動を好む、この自分がこの有様だ。
もっとも彼女絡みだと不快は感じないのだが
それが惚れた弱みと言うことなのだろうか。
あ、と巴がぽんと手を打つ。
「じゃあ、もう一回寝ましょうか?
今日はもう二人してお休みしちゃって、みんなが学校行っちゃうまで」
まあ、あとは寮母さんの外出狙って。
のんきな声で言う。
彼女が言うと、馬鹿馬鹿しい提案ももっともらしく聞こえるから不思議だ。
だが、まあいいでしょう。それも悪くない。
彼女と一緒なら、なんだって。
「でも、お腹空きませんか?」
観月らしく現実的な意見を述べる。
食べ盛りの彼らのこと、食欲は切り離せない。
しかし、その意見も巴のえへへ…と得意そうな笑みで解決の兆しだ。
じゃーん、と先ほど出していた派手な包みを開ける。
「ドライフルーツたっぷりのバースデーケーキでーす♪はい、解決解決~」
いつ食べてもらえるか分からなかったので、生ケーキは避けたんですが
それが今回良い方に転がりましたねー、いつでも食べられますよ。
得意げに胸を反らして巴は言う。
観月も嬉しげにそれに答える。
「じゃあ、これを食べて腹ごしらえしてまた寝てしまいましょうか」
優等生の自分がサボって彼女と二度寝なんて本来もってのほかだけれど。
今日は特別の日だ、こんな日があっても良いだろう。
彼女に出会ってから自分自身変化が顕著だ。
よい傾向か悪い傾向かは分からないけれども、
自分自身の気持ちだけははっきりといい傾向に向かっているのが分かる。
それで充分。
「ですが、寮から抜け出せたらその後は、
朝練に出られなかった分ちゃんとトレーニングしますからね。
充分睡眠も取るんですから心してくださいね」
でも、いつもの変わらない自分も大切に。
えー、と不満げな彼女の声が聞こえても、それだけは変えずに。
END
*君が僕にくれたもの:おまけ
「……で、君は一体どうするというですか?
前々から注意しているように、君はどうも後先を考えない」
ちょっとは反省しなさい。少し怖い顔で観月はそう言った。
本当に、この状況、どうしたものか。
ほとほと悩んでしまう。
「だって!一緒に寝ようって言ったのは観月さんじゃないですか~。
観月さんも責任の一端を握ってると思うんですけど」
少し不満げに口を尖らせて巴も言う。
「こ、声が大きいですよ。
それはそうですけど…じゃあ、君は良い案があるとでも言うんですか?」
観月のアラームが鳴る時間。
つまり寮生全員の起床時間だ。当然日も高い。
おまけに今日は観月の誕生日を祝うかのごとく快晴で雲一つ無い。
視界も当然良好だ。
したがって、巴がこっそり寮を抜け出すのは困難になってしまった。
堂々と正面玄関から出られる訳も無し。
窓からといっても、いくら木が少しは隠れ蓑になるといっても、
こんなに明るくては完全にこっそり出るのは難しい。
もちろん、他の寮生、たとえば柳沢とか木更津に協力を求めれば
なんとかなるかもしれない。
しかし、それは一番使いたくない手だ。
後で何を言われるものだか知れたものではない。
と、なると完全に打つ手無しだ。
頭を抱えて観月はしゃがみ込む。
いつの間にか、巴のペースに巻き込まれている。
いつも冷静でスマートな行動を好む、この自分がこの有様だ。
もっとも彼女絡みだと不快は感じないのだが
それが惚れた弱みと言うことなのだろうか。
あ、と巴がぽんと手を打つ。
「じゃあ、もう一回寝ましょうか?
今日はもう二人してお休みしちゃって、みんなが学校行っちゃうまで」
まあ、あとは寮母さんの外出狙って。
のんきな声で言う。
彼女が言うと、馬鹿馬鹿しい提案ももっともらしく聞こえるから不思議だ。
だが、まあいいでしょう。それも悪くない。
彼女と一緒なら、なんだって。
「でも、お腹空きませんか?」
観月らしく現実的な意見を述べる。
食べ盛りの彼らのこと、食欲は切り離せない。
しかし、その意見も巴のえへへ…と得意そうな笑みで解決の兆しだ。
じゃーん、と先ほど出していた派手な包みを開ける。
「ドライフルーツたっぷりのバースデーケーキでーす♪はい、解決解決~」
いつ食べてもらえるか分からなかったので、生ケーキは避けたんですが
それが今回良い方に転がりましたねー、いつでも食べられますよ。
得意げに胸を反らして巴は言う。
観月も嬉しげにそれに答える。
「じゃあ、これを食べて腹ごしらえしてまた寝てしまいましょうか」
優等生の自分がサボって彼女と二度寝なんて本来もってのほかだけれど。
今日は特別の日だ、こんな日があっても良いだろう。
彼女に出会ってから自分自身変化が顕著だ。
よい傾向か悪い傾向かは分からないけれども、
自分自身の気持ちだけははっきりといい傾向に向かっているのが分かる。
それで充分。
「ですが、寮から抜け出せたらその後は、
朝練に出られなかった分ちゃんとトレーニングしますからね。
充分睡眠も取るんですから心してくださいね」
でも、いつもの変わらない自分も大切に。
えー、と不満げな彼女の声が聞こえても、それだけは変えずに。
END
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