×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
幸せなクリスマスの朝の話。
***
赤月巴は普段のことを考えると信じられないほど、そっと静かに扉を開ける。
そしてするりと越前リョーマの私室に滑り込んだ。
ようやく空が白んできた12月24日早朝、巴はサンタ気取りでリョーマに誕生日プレゼント兼クリスマスプレゼントを届けにやってきた。
プレゼントはなけなしの所持金で購入したリストバンド。
リョーマお気に入りのブランドものだ。
キレイに包まれたそれと『HappyBirthday&MerryChristmasプレゼントをどうぞ』と微妙に歪んだ字で書かれたカードを持ってきた。
枕元に置いて、彼が目を覚ましたら驚かせようという魂胆だ。
もっとも冷静なリョーマにそれが通用するかどうかは巴にも分からないのだが。
多分、通用しない確率の方が高いのは言うまでもなく。
(そーっと、そーっと)
抜き足差し足でリョーマに向かう。
途中、不穏な気配を察してか、リョーマの足下で丸くなっていたカルピンが目を覚ました。
「……ほぁらー……」
「…………!しーっ!!!」
リョーマが起きやしないかと巴は顔面蒼白させる。
しかし、そんな巴の気持ちを察してかカルピンはそのまま寝返りを打って再び眠りの世界へと帰っていった。
巴はしばらくジッとしてリョーマが目を覚まさなかったか様子を窺った。
ここで気付かれては巴は単に他人の部屋に忍び込む変質者だ。
手に汗を握る。
しかし、巴の「起きないで!」という祈りが通じたのか目を覚ました気配はなかった。
ホッと胸を撫で下ろす。
また再びそろそろとリョーマのベッドへと近づいた。
今度は難なく枕元へとたどりついた。
そっと手を伸ばしてプレゼントを枕元の障りのないところに静かに置いた。
(やったー、任務完了♪)
あとは部屋を出て、リョーマが目を覚ますのを待つのみだ。
任務達成の安堵感に思わずベッド脇にへたり込んだ。
へたり込んだまま巴の視線はリョーマに注がれる。
寝顔を見るのは同居して1年半、これが初めてではないけれどベッドでキチンと睡眠を取っている姿は初めてだった。
普段は表情も言動もキツイが
それでも寝顔はやはり穏やかで優しげに見える。
穏やかな寝顔と規則正しい寝息。
巴は何となく暖かい気持ちになってしばらく眺めていた。
そして達成の安堵感からきたのだろうか気が抜けてしまい、
自分でも気付かないうちに
巴はリョーマのベッドに顔を伏せて眠ってしまった。
その顔はリョーマに負けず劣らず穏やかだった。
リョーマはなにか自分以外の人の気配に気付いて目を覚ました。
周囲を見渡すと枕元にプレゼント。
ベッド脇にはすやすやと眠る巴。
彼女が何を目的としてこの部屋に入ってきたのかは容易に分かった。
ここで寝ているのも多分、この場で力尽きてしまったのだろう。
時計を見るとまだ起きるには早い時間で、巴を起こそうと手を伸ばした。
しかし、少し考えて伸ばした手を止めて
その代わりに自分の毛布を掛けてやる。
(どうせなら、俺の布団に入ってくれればいいのに)
そうすれば、暖かいし二人で気持ちよく寝られるのにと残念がる。
もっとも、二人の仲がまだそう言う段階でないことも十分承知しているし
今この時点で無理強いするつもりもない。忍耐力には自信がある方だ。
そして毛布が無くなり少し冷気が入り込んできた布団に
身体を丸めて再び寝る姿勢に入る。
ふと、プレゼントの脇に添えられたカードに目を留める。
『HappyBirthday&MerryChristmasプレゼントをどうぞ』
(プレゼントをどうぞ…ね。
じゃあ、これもプレゼントじゃないの?カードと一緒に置かれている訳だし)
そう考えながら、ベッド脇で寝ている巴が無防備に放り出してる手を握り、
もう一度目を閉じる。
再び目を覚ましたときにこのプレゼントが消えていなければ
このままこのプレゼントを手放さないようにしようと心に誓う。
そうして目覚ましが鳴るまでのあとわずかな時間、
無事に誕生日を迎えたリョーマは
手にわずかな温もりを感じながら幸せな睡眠を味わった。
END
***
赤月巴は普段のことを考えると信じられないほど、そっと静かに扉を開ける。
そしてするりと越前リョーマの私室に滑り込んだ。
ようやく空が白んできた12月24日早朝、巴はサンタ気取りでリョーマに誕生日プレゼント兼クリスマスプレゼントを届けにやってきた。
プレゼントはなけなしの所持金で購入したリストバンド。
リョーマお気に入りのブランドものだ。
キレイに包まれたそれと『HappyBirthday&MerryChristmasプレゼントをどうぞ』と微妙に歪んだ字で書かれたカードを持ってきた。
枕元に置いて、彼が目を覚ましたら驚かせようという魂胆だ。
もっとも冷静なリョーマにそれが通用するかどうかは巴にも分からないのだが。
多分、通用しない確率の方が高いのは言うまでもなく。
(そーっと、そーっと)
抜き足差し足でリョーマに向かう。
途中、不穏な気配を察してか、リョーマの足下で丸くなっていたカルピンが目を覚ました。
「……ほぁらー……」
「…………!しーっ!!!」
リョーマが起きやしないかと巴は顔面蒼白させる。
しかし、そんな巴の気持ちを察してかカルピンはそのまま寝返りを打って再び眠りの世界へと帰っていった。
巴はしばらくジッとしてリョーマが目を覚まさなかったか様子を窺った。
ここで気付かれては巴は単に他人の部屋に忍び込む変質者だ。
手に汗を握る。
しかし、巴の「起きないで!」という祈りが通じたのか目を覚ました気配はなかった。
ホッと胸を撫で下ろす。
また再びそろそろとリョーマのベッドへと近づいた。
今度は難なく枕元へとたどりついた。
そっと手を伸ばしてプレゼントを枕元の障りのないところに静かに置いた。
(やったー、任務完了♪)
あとは部屋を出て、リョーマが目を覚ますのを待つのみだ。
任務達成の安堵感に思わずベッド脇にへたり込んだ。
へたり込んだまま巴の視線はリョーマに注がれる。
寝顔を見るのは同居して1年半、これが初めてではないけれどベッドでキチンと睡眠を取っている姿は初めてだった。
普段は表情も言動もキツイが
それでも寝顔はやはり穏やかで優しげに見える。
穏やかな寝顔と規則正しい寝息。
巴は何となく暖かい気持ちになってしばらく眺めていた。
そして達成の安堵感からきたのだろうか気が抜けてしまい、
自分でも気付かないうちに
巴はリョーマのベッドに顔を伏せて眠ってしまった。
その顔はリョーマに負けず劣らず穏やかだった。
リョーマはなにか自分以外の人の気配に気付いて目を覚ました。
周囲を見渡すと枕元にプレゼント。
ベッド脇にはすやすやと眠る巴。
彼女が何を目的としてこの部屋に入ってきたのかは容易に分かった。
ここで寝ているのも多分、この場で力尽きてしまったのだろう。
時計を見るとまだ起きるには早い時間で、巴を起こそうと手を伸ばした。
しかし、少し考えて伸ばした手を止めて
その代わりに自分の毛布を掛けてやる。
(どうせなら、俺の布団に入ってくれればいいのに)
そうすれば、暖かいし二人で気持ちよく寝られるのにと残念がる。
もっとも、二人の仲がまだそう言う段階でないことも十分承知しているし
今この時点で無理強いするつもりもない。忍耐力には自信がある方だ。
そして毛布が無くなり少し冷気が入り込んできた布団に
身体を丸めて再び寝る姿勢に入る。
ふと、プレゼントの脇に添えられたカードに目を留める。
『HappyBirthday&MerryChristmasプレゼントをどうぞ』
(プレゼントをどうぞ…ね。
じゃあ、これもプレゼントじゃないの?カードと一緒に置かれている訳だし)
そう考えながら、ベッド脇で寝ている巴が無防備に放り出してる手を握り、
もう一度目を閉じる。
再び目を覚ましたときにこのプレゼントが消えていなければ
このままこのプレゼントを手放さないようにしようと心に誓う。
そうして目覚ましが鳴るまでのあとわずかな時間、
無事に誕生日を迎えたリョーマは
手にわずかな温もりを感じながら幸せな睡眠を味わった。
END
PR
プロフィール
HN:
ななせなな
性別:
非公開
カテゴリー
最新記事
(01/01)
(05/24)
(05/03)
(05/03)
(02/14)
忍者カウンター
P R