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先日「無定期便」の義朝さんから頂いた「TEA TIME」のおまけをさらに頂きました。
幸せ者です。
先の本編を読んでからのほうがよろしいかと思われます。
***
「観月、こんな店で何見てるだーね?」
いきなり背後からかけられた声に観月が過剰なまでに反応して振り返る。
そこにいたのは木更津と柳沢。
場所は雑貨屋。
まさか見つかるとは思わなかったのだがこういう時だけはいつも目敏い。
「何かご用ですか?」
慌てて平静を取り繕う。
いや、冷静に考えればなにも後ろめたいことはしていないのだから取り繕う必要もないのだが。
「別に観月に用はないけどね。
赤月に誕生日プレゼント?」
観月が見ていた小物に視線を送って木更津が言う。
いかにもそのとおりなのだが。
「……どうしてキミが巴くんの誕生日を知っているんですか?」
「観月だって知ってるんだろ?
僕が知っていたって不思議はないじゃないか」
愉しげに言う木更津の台詞に反論の術を持たず観月はまた口を閉じた。
確かにそうだが、観月が彼女の誕生日を知っているのは彼の持っているデータの一環であり、彼女から直接聞いたわけではない。
木更津は違うだろう。きっと彼女の口から直接その事実を聞いたのだろう。
それが、妙に癪に障る。
「わざわざ赤月にプレゼントとは、マメだーね」
揶揄するように言う柳沢を半分八つ当たり気味に睨みつける。
この様子では彼も前から知っていたようだ。
データの出所が違うだけで、知っていることは同じ。
なのに何故こんなに苛つくのかが自分でもわからない。
「ええ、そうですよ。
彼女はスクール組の大切な仲間ですからね」
「でも、他のスクール組に誕生日プレゼントなんて渡してるの、見た事がないけれど?」
「そうだーね。白々しいだーね」
二人に、冷笑を返す。
「当然でしょう?
彼女は青学の選手ですよ。
青学レギュラーのデータを漏らしてくれる、貴重な人材です。
大切にしておくに越した事はないでしょう」
そのあんまりといえばあんまりないい様に二人が黙ったのを見て、観月はさっさと踵を返す。
そうだ。
自分は彼女を利用する為に近づいた。
特別な感情なんて持っているはずがない。
持てるはずがない。
彼女が誰になにを告げていようが、自分には関係がない。
そう、心の中で反復しながら。
「……だってさ」
「あれ、本気で言ってるつもりだーね」
「そうみたいだね。
わかっていないのは本人達だけ。全く始末に終えないね」
残された木更津と柳沢が顔を見合わせて肩をすくめたとき、タイミングよく木更津の携帯が鳴った。
画面を開いた木更津が届いたメールの文面を読んで苦笑する。
「誰からだーね?」
覗き込もうとする柳沢の目の前で携帯を閉じると、木更津は若干意地の悪い笑みを口の端に浮かべた。
「噂の元から。
……さて、観月はいったいいつあのプレゼントを渡すつもりなんだろうね?」
幸せ者です。
先の本編を読んでからのほうがよろしいかと思われます。
***
「観月、こんな店で何見てるだーね?」
いきなり背後からかけられた声に観月が過剰なまでに反応して振り返る。
そこにいたのは木更津と柳沢。
場所は雑貨屋。
まさか見つかるとは思わなかったのだがこういう時だけはいつも目敏い。
「何かご用ですか?」
慌てて平静を取り繕う。
いや、冷静に考えればなにも後ろめたいことはしていないのだから取り繕う必要もないのだが。
「別に観月に用はないけどね。
赤月に誕生日プレゼント?」
観月が見ていた小物に視線を送って木更津が言う。
いかにもそのとおりなのだが。
「……どうしてキミが巴くんの誕生日を知っているんですか?」
「観月だって知ってるんだろ?
僕が知っていたって不思議はないじゃないか」
愉しげに言う木更津の台詞に反論の術を持たず観月はまた口を閉じた。
確かにそうだが、観月が彼女の誕生日を知っているのは彼の持っているデータの一環であり、彼女から直接聞いたわけではない。
木更津は違うだろう。きっと彼女の口から直接その事実を聞いたのだろう。
それが、妙に癪に障る。
「わざわざ赤月にプレゼントとは、マメだーね」
揶揄するように言う柳沢を半分八つ当たり気味に睨みつける。
この様子では彼も前から知っていたようだ。
データの出所が違うだけで、知っていることは同じ。
なのに何故こんなに苛つくのかが自分でもわからない。
「ええ、そうですよ。
彼女はスクール組の大切な仲間ですからね」
「でも、他のスクール組に誕生日プレゼントなんて渡してるの、見た事がないけれど?」
「そうだーね。白々しいだーね」
二人に、冷笑を返す。
「当然でしょう?
彼女は青学の選手ですよ。
青学レギュラーのデータを漏らしてくれる、貴重な人材です。
大切にしておくに越した事はないでしょう」
そのあんまりといえばあんまりないい様に二人が黙ったのを見て、観月はさっさと踵を返す。
そうだ。
自分は彼女を利用する為に近づいた。
特別な感情なんて持っているはずがない。
持てるはずがない。
彼女が誰になにを告げていようが、自分には関係がない。
そう、心の中で反復しながら。
「……だってさ」
「あれ、本気で言ってるつもりだーね」
「そうみたいだね。
わかっていないのは本人達だけ。全く始末に終えないね」
残された木更津と柳沢が顔を見合わせて肩をすくめたとき、タイミングよく木更津の携帯が鳴った。
画面を開いた木更津が届いたメールの文面を読んで苦笑する。
「誰からだーね?」
覗き込もうとする柳沢の目の前で携帯を閉じると、木更津は若干意地の悪い笑みを口の端に浮かべた。
「噂の元から。
……さて、観月はいったいいつあのプレゼントを渡すつもりなんだろうね?」
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