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赤月巴に手を振って向かってくる宍戸亮が、
突如ギョッとした顔になる。
無理もない。
なぜなら巴が手にしていたのが大きな花束。
二人の性格からしても、二人の逢瀬に花ほど似合わないものはない。



*感謝の花束



「なっ、なんだよ!お前!花束なんて持って…なんのつもりだよ」

今日は宍戸の誕生日だ。
だからもちろん誕生日祝いとして花束を持つということは
アリなのかもしれないが体育会系男子への誕生日プレゼントとして
これほどそぐわないものはない。
その事は同じく体育会系な巴にも分からないことでは無いはずなのだが。
それで「なんのつもりだ」という言葉が出てしまった。

「なんのつもり…ってお祝いですよ?」

はい、と華やかな黄色を基調とした花束を宍戸に手渡す。
その華やかすぎるほどの色のチョイスもあり得ない。

「お前…なあ…?」

なんか、おかしいんじゃねーのか?
と、いう一言はかろうじて飲み込む。
プレゼントを選ぶセンスがおかしかろうか、
一応自分の彼女の立場にある。
そんな女性に向けていい言葉ではない。
そういうところは紳士すぎるほど紳士だ。

「あっ…宍戸さん…もしかして、自分へのプレゼントだと思いましたねー?」

ニヤニヤして巴は宍戸の顔を窺う。
すこし意地の悪い顔だ。
宍戸はその顔を見て憮然とした表情になる。
そりゃ、今日俺の誕生日に花束なんて持ってこられたら自分のだと思うだろうが。

「答えは、じゃーん!宍戸さんのお母さんへのプレゼントでーす」

「……お袋?なんで?」

宍戸の頭の中には疑問符の嵐だ。
今日は自分の誕生日であって、母親の誕生日ではない。
それなのに巴は母親宛のプレゼントを持ってきたという。

「それは、頑張って宍戸さんをこの世に誕生させてくれたからですよ
その事についてはも~~~~~のすごく感謝してるんです!」

巴は本当に嬉しそうにそう語る。
それを見て宍戸も嬉しくなり、思わずめずらしく抱きしめてしまう。

「えっ?えええ?宍戸さん?」

ストレートに態度に表すことが少ない彼の
あまりにもストレートな表現に戸惑いを隠せない。

「サンキュ、きっとお袋も喜ぶと思う。━━━もちろん、俺もな」

耳元で普段聴くことの無いほどの柔らかい声で巴に感謝の言葉を紡ぐ。

「俺も、お袋も今日はイイ記念日になるよ。
俺は━━━そういう前向きな事を恥ずかしがらずやるお前を好きになったんだったな」



END
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