×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
本文なし
カタン…カタン…
観覧車独特の音は乗りこんだゴンドラとともに
二人の緊張までも高みにあげていく。
『当パーク自慢の観覧車エアライドへようこそ!』
しらじらしいアニメ風の女性の声がゴンドラの中に響く。
『この観覧車はなんと世界最大級!
一周30分の空中散歩へ皆様をご招待━━━』
*チェリー・ピンク4
30分。
この時間が長いと思うのか、短いと思うのか。
どちらかと言えば二人とも「長い」と思っていた。
すでに観覧車に並ぶところから微妙だった。
やっぱり少しぎこちないお互いを感じつつ当たり障りのない会話。
その事で巴はますます落ち込むような気分になり、
巴のことが掴みきれない千石は思いきった行動にも出られず、
焦れったい気分のままだった。
かといって、お互い「やっぱり観覧車はやめよう」とは言えないままで。
(あー…。うっかり観覧車に乗りたいなんて言わなきゃ良かったかなあ。
もう何を話して良いかわかんないよううう)
でも、やっぱり千石といるのは楽しいし嬉しい。
そのジレンマが巴を悩ませる。
普段滅多にフル回転させることのないその頭は今まさに最高の回転速度だ。
ちなみにその悩み事で百面相もフル回転で、本人はもちろん気づいていないが正面に座っている千石にはよく見える。
やっぱり、巴ちゃんはカワイイよなあと改めて思う。
思うだけでなく顔もニヤついているが。
「あーーー!もう、意識しないように気をつけてたんだけどなあ!」
お手上げだ。そんな表情で声を張り上げる。
巴はなにを千石が気をつけていたのかわからず、
きょとんとした表情だ。
(意識?何を意識しない様にしてたんだろ?はっ…!今日の私の挙動不審さ???)
だったら、やばい。
もしかして余りにも挙動不審すぎて愛想をつかされたりして。
急に落ち込む自分。
急に妄想が激しくなる自分。
急に悩む自分。
客観的に見てみると今日の自分は不審だ。明らかに不審だ。不審すぎる。
もっともだからといってどうしたら良いかもさっぱり分からないのだが。
動揺する自分を落ち着かせようと、しきりにゴンドラの外の風景を眺めたりしてみるが、無駄なようだ。
(だめだ!やっぱり可愛いんだもん。どうしようもないよね)
落ち着かない表情でソワソワしている巴を前にして
そろそろ自制心が遠い彼方へ去ろうとしている。
幸いにして二人きり。
不幸にして二人きり。
誰にも邪魔されないこの小さな密室で。
カワイイ彼女とイチャイチャしたいなんて思うのは当然じゃないか?
健全じゃないか?
誰が責められる?
今日の彼女は確かに少し機嫌が悪いみたいだし、
理由が分からないだけにちょっと怖いけど。
だってテニスプレイヤーにしては案外細い肩が、
つやつやぷるぷるの唇が俺を誘ってるし。
思い切って「ごめん!」ってしてからぎゅってしてみちゃおっか?
そろそろ地平線に帰っていく太陽の雰囲気に乗じてみる?
とりあえず大きく深呼吸をして自分を落ち着かせてみる。
(ああ…やっぱり別れ話なのかあ…千石さん)
大きく息を吸った千石を見て巴は理由もなく確信する。
どうりで今日の彼はちょっとおかしいはずだ。
普段の彼ならグロスぐらいすぐに気づくだろう。
もう自分には興味がないのだ。きっと。
運が良いのか悪いのか、ギャラリーがいない。二人っきりだ。
別れ話にも丁度良いだろう。
どうしよう、このままじゃ…。
別れない。別れたくない。
いっそのこと「ごめん!」って謝っちゃおうか。
で、悪いところがあるなら言ってもらおう。
挙動不審が嫌なら頑張って普通になろう。
勇気を出して立ち上がる。
「千石さん!!!!」
…グラッ…
「……きゃああっ」
「…っ巴ちゃん!」
ゴンドラが激しく揺れる。そして巴はその揺れに耐えられなかった。
5へ
カタン…カタン…
観覧車独特の音は乗りこんだゴンドラとともに
二人の緊張までも高みにあげていく。
『当パーク自慢の観覧車エアライドへようこそ!』
しらじらしいアニメ風の女性の声がゴンドラの中に響く。
『この観覧車はなんと世界最大級!
一周30分の空中散歩へ皆様をご招待━━━』
*チェリー・ピンク4
30分。
この時間が長いと思うのか、短いと思うのか。
どちらかと言えば二人とも「長い」と思っていた。
すでに観覧車に並ぶところから微妙だった。
やっぱり少しぎこちないお互いを感じつつ当たり障りのない会話。
その事で巴はますます落ち込むような気分になり、
巴のことが掴みきれない千石は思いきった行動にも出られず、
焦れったい気分のままだった。
かといって、お互い「やっぱり観覧車はやめよう」とは言えないままで。
(あー…。うっかり観覧車に乗りたいなんて言わなきゃ良かったかなあ。
もう何を話して良いかわかんないよううう)
でも、やっぱり千石といるのは楽しいし嬉しい。
そのジレンマが巴を悩ませる。
普段滅多にフル回転させることのないその頭は今まさに最高の回転速度だ。
ちなみにその悩み事で百面相もフル回転で、本人はもちろん気づいていないが正面に座っている千石にはよく見える。
やっぱり、巴ちゃんはカワイイよなあと改めて思う。
思うだけでなく顔もニヤついているが。
「あーーー!もう、意識しないように気をつけてたんだけどなあ!」
お手上げだ。そんな表情で声を張り上げる。
巴はなにを千石が気をつけていたのかわからず、
きょとんとした表情だ。
(意識?何を意識しない様にしてたんだろ?はっ…!今日の私の挙動不審さ???)
だったら、やばい。
もしかして余りにも挙動不審すぎて愛想をつかされたりして。
急に落ち込む自分。
急に妄想が激しくなる自分。
急に悩む自分。
客観的に見てみると今日の自分は不審だ。明らかに不審だ。不審すぎる。
もっともだからといってどうしたら良いかもさっぱり分からないのだが。
動揺する自分を落ち着かせようと、しきりにゴンドラの外の風景を眺めたりしてみるが、無駄なようだ。
(だめだ!やっぱり可愛いんだもん。どうしようもないよね)
落ち着かない表情でソワソワしている巴を前にして
そろそろ自制心が遠い彼方へ去ろうとしている。
幸いにして二人きり。
不幸にして二人きり。
誰にも邪魔されないこの小さな密室で。
カワイイ彼女とイチャイチャしたいなんて思うのは当然じゃないか?
健全じゃないか?
誰が責められる?
今日の彼女は確かに少し機嫌が悪いみたいだし、
理由が分からないだけにちょっと怖いけど。
だってテニスプレイヤーにしては案外細い肩が、
つやつやぷるぷるの唇が俺を誘ってるし。
思い切って「ごめん!」ってしてからぎゅってしてみちゃおっか?
そろそろ地平線に帰っていく太陽の雰囲気に乗じてみる?
とりあえず大きく深呼吸をして自分を落ち着かせてみる。
(ああ…やっぱり別れ話なのかあ…千石さん)
大きく息を吸った千石を見て巴は理由もなく確信する。
どうりで今日の彼はちょっとおかしいはずだ。
普段の彼ならグロスぐらいすぐに気づくだろう。
もう自分には興味がないのだ。きっと。
運が良いのか悪いのか、ギャラリーがいない。二人っきりだ。
別れ話にも丁度良いだろう。
どうしよう、このままじゃ…。
別れない。別れたくない。
いっそのこと「ごめん!」って謝っちゃおうか。
で、悪いところがあるなら言ってもらおう。
挙動不審が嫌なら頑張って普通になろう。
勇気を出して立ち上がる。
「千石さん!!!!」
…グラッ…
「……きゃああっ」
「…っ巴ちゃん!」
ゴンドラが激しく揺れる。そして巴はその揺れに耐えられなかった。
5へ
PR
プロフィール
HN:
ななせなな
性別:
非公開
カテゴリー
最新記事
(01/01)
(05/24)
(05/03)
(05/03)
(02/14)
忍者カウンター
P R